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in ネズミの王国
「ぁあ~やっぱり夢の国癒やされる~♪
でも…お掃除とか、サービスとかはやっぱり日本の方が凄いね…全てにおいて行き届いてるって言うか…」
「そりゃそ~でしょ?
日本のサービスは世界の中でもトップクラスだからね…
日本人気質ってヤツでしょ。」
「そ~よね…
痒い所に手が届くって言うか
きめ細かいサービスが出来るのは日本人ならではよね…」
そんな事を言いながらも
そこはやっぱり夢の国。
私達は充分ネズミの王国を満喫していた。
「も~すぐパレードじゃないの‥?ちょっと休憩する?」
「そ~だね。お腹もすいてきたしどっかで何か買う?それともレストランで…ってチョット篤史!聞いてる?」
篤史は職業柄行き交う人達のファッションチェックをする癖がある。
いつもの事なのだが篤史がボーっと見つめる視線の先には綺麗な黒髪の女性がいた。
「新婚旅行で余所見なんて信じらんない!」
いつもならほっておくのだけれど‥あまりにその女性が大人っぽくて‥綺麗で‥篤史の好きそうな感じだったから思わず篤史のスニーカーを踏んづけてやった。
「違うって…ホラ。
アレ…KIYOじゃね?」
「ハア~!?何言ってんの?
ロスなんだから金髪ロン毛は山盛りいるけどKIYOなわけナイじゃん!!ホラ行こ!」
私はまたいつもの篤史の冗談かと思い見向きもしなかった。
「あの人いいセンスしてんなぁ…と思ったんだよ‥
やっぱ私服もカッコいいな‥
こんな人ゴミでもオーラあるし‥
なぁよく見てみろって‥
絶対KIYOだよ。
ホラ…あの綺麗な人‥
KIYOの奥さんだったんだ‥
うわ!子供ちゃん可愛い~!
ハーフみてぇ‥」
え‥?
KIYOの奥さん?
KIYOの子供?
ウソでしょ!?
私は騙された気持ちで
振り向いた。
「‥‥‥‥。」
「な?KIYOだろ?」
その通り‥KIYOだよ‥
間違いない。
部屋を片付けた時‥
女性誌のKIYOのセミヌード特集号だけは捨てられなかったほどKIYOファンの私が間違えるわけナイ。
ううん…そんなファンじゃなくてもKIYOだってわかるよ‥
だって‥サングラスも帽子もマスクもしていないし‥
篤史が言う様にオーラが‥
半端ナイ。
どっからど~見ても一般人には見えない。
疑わしい要素があるとしたら…
それはただひとつ。
KIYOの頭にネズミの耳がついている事だけだった。
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