眼帯の奥と

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「なぁ、それ外すとどうなんの?」 昔俺は聞いたことがあった。 「普段は外したくないんだが」 そう言って彼は外した。 「コッチの目、見えないんだよ」 彼と初めて出会って1年と少し。 初めて知った事実にひどく動揺したのを今でも覚えている。 「おかえり!不動!」 オフシーズンになったので、久しぶりに日本へ降りた。 空港のタクシー乗り場でタクシーを待ってると、水色の長髪をなびかせ、車のキーを指にかけ、ぐるぐる回す彼がいた。 「久しぶりだな」 「最後にお前が日本帰ったの、ゴッドエデンの時だったもんなぁ」 「あん時あんまり時間なかったけど、今回は2週間くらい滞在する予定だぜ」 半年ぶりに会ったからか、言葉が見つからずに沈黙が続く。 「とりあえず車乗る?」 「お前免許なんて取ってたんだな」 「やっぱり車の方が仕事上楽なんだよ。鬼道のお守りとか?」 悪戯っぽくニヤニヤと笑う佐久間に俺は、少し口を膨らませ、スネてみせたりした。
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