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ぺらり。 本のページをめくる音が、心地よく耳に届きます。 はめ込まれた小さな窓から差し込む明かりに照らされたページを見ると、私の指は次のページをめくります。 ぺらり、ぺらり。 ぺらぺら、ぺらぺらぺらぺらららららら。 うっかりめくりすぎてしまいました。 これは何度も読んだ本です。流石に飽きてきました。 頑張り屋さんな主人公のウサギを応援するのも、三十回を越えると疲れてきます。なにしろ結末を知っているのですから。 (*゚ー゚)「本、おねだりに行こうっと」 私は本をそのままに、すっくと立ち上がるとベッドと本しかない部屋を出て行きます。 そして、大好きな彼の名を呼びました。 (*゚ー゚)「アサピー!」 ――ナンバーゼロのようです――
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