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野上孝祐は、煩く鳴り続ける目覚まし時計に手を掛けた。
時計手を乗せ、解除スイッチを探しているところで、「あぁ、そういや先週目覚まし機能壊れたんだった」と思い出した。
そして目覚まし時計に代わって主人を起こす役目を担った携帯電話のアラームを止める。
巷ではスマートフォンという新世代の携帯電話が流行りだしているが、如何せん値段が馬鹿馬鹿しいくらい高い。
やっと初任給が入って来たばかりの新入社員では、まだまだ手が届かない。
折りたたみ式じゃないと嫌だ。
ボタンが無いなんてありえない。
という愚痴を吐きながらも、これからは社会的に持ってないといけないようなことになるのだろう。
入社記念に親に買って貰ったスーツに腕を通す。
そろそろ暑くなるから、クールビズ用のワイシャツやら何やらを買わないといけない。
―来週の給料が入ってからにするか。
憂鬱な朝、孝祐は戸締まりを確認してアパートを出た。
…ところで、目を大きく見開いた。
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