拾った犬の行方

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「……龍桜の姫を、……琉雨を拉致してすまなかった…謝ってすむような問題じゃないが、本当にすまなかった」 すっ、と琉雨の後ろから琉雨の前に出て、雷牙、空、大樹、空蓮、慶鈴。その後ろにいる狐羽や零壱達下っ端たちを見回し、静かに謝罪した。 頭を下げたままの犬璃に誰もなにも言わない。表情を見れば、琉雨と同じく空蓮や大樹までもが皆、無表情。 「……心配かけて、ごめんなさい。雷牙から皆必死にあたしを探してくれたって聞いて凄い嬉しかった。犬璃は、あたしを拉致した張本人だけどあたしを守ってくれた。」 琉雨も静かに、しかし堂々と。若干高めの美しい綺麗な声を張り、上品に腰を折り犬璃の半歩後ろで頭を下げる。 「…勝手なことを言うが、どうか犬璃を責めないで欲しい」 普段の明るい口調とはうって変わって、凛とした口調と上品な立ち振る舞いに皆見とれる。 琉雨からしてみれば、 上品な立ち振る舞いはキャバの母を見て学んだもの。凛とした口調はホストの父を見て学んだもの。 記憶が曖昧な小さな頃、気丈に振る舞う母が美しかったのを覚えていた。 また、父の凛とした口調も格好良かったのを覚えていたため。 容姿端麗の琉雨にそんな態度をされては、琉雨に気がない者であっても、初対面であっても、琉雨を恨んでいる者であろうとも。 どんな者であっても見惚れるだろう。 「……ったく、しょ~がねえな~。お姫様に頭下げられちゃあ拉致したの許しませんなんて言えねぇじゃねぇのよ」 ぷかぷかタバコを吸いながら笑顔を浮かべ琉雨と犬璃をみるのは、空。 赤面してないところを見ると、流石女たらしといったところだろう。 「まあ…琉雨ちゃんは無事だし、蛇神は潰れたし、一石二ちょ───」 ────パルパラリ~パルパラリ~ 空によってほんわかした空気になり空蓮も喋っていたとき、この空間に相応しくない機械音が鳴り響いた。
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