カクテルⅠ

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「そんなところに居ないで、どうぞこちらに座って下さい」 「あ……はい」 バーテン服が傍らのカウンター席を指差すと、男は頷き、ぎこちない様子で席についた。 「あら」 ふと横から掛けられた声に振り向けば、1人の髪の長い女性が笑顔を浮かべていた。 右手に持つグラスは、白い液体で満たされている。 「……こんばんは」 「暗いわねぇ。……私は、ヒメ」 「?」 「名前よ」 「……姫って、本名なんですか?」 「何だって良いじゃない。……で、貴方の名前は?」 男は顔を俯かせると、小さく口を開く。
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