3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなところに居ないで、どうぞこちらに座って下さい」
「あ……はい」
バーテン服が傍らのカウンター席を指差すと、男は頷き、ぎこちない様子で席についた。
「あら」
ふと横から掛けられた声に振り向けば、1人の髪の長い女性が笑顔を浮かべていた。
右手に持つグラスは、白い液体で満たされている。
「……こんばんは」
「暗いわねぇ。……私は、ヒメ」
「?」
「名前よ」
「……姫って、本名なんですか?」
「何だって良いじゃない。……で、貴方の名前は?」
男は顔を俯かせると、小さく口を開く。
最初のコメントを投稿しよう!