カクテルⅠ

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「……どうぞ」 シェイカーからカクテルが注がれたグラスが、唖然とするリュウタの前に静かに置かれる。 「今のは……」 「ふふっ。凄いでしょ。マスター秘伝の技よ。ここにやってくる客はみな彼のカクテルさばきに驚くわ」 得意げにヒメが話すと、リュウタは興味深い瞳でグラスを覗き込む。 「……これは一体」 グラスの中は、混沌とした茶色の液体で満ちていた。 本当にカクテルかと疑う色に戸惑うリュウタだが、マスターは紳士な口調で飲むように促す。
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