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いろのはなし
あの色には届かない。
そう思い込む私は赤く染まる。
赤、赤、赤。
何故だか、いつも。
本当は空のような澄んだ色が好きなのに、
「好きな色は?」
口をついてでるのは、いつも、
「あかいろ」
真っ赤な嘘で。
いつかみんなに好かれるようなソラ色になりたいな、とか、
届かない夢のようなことで、現実逃避する。
でも、空から見ても、私のような、赤色には染まれない。
だって私の赤は。
くらくつめたいあかだから。
そして、染まって、笑う。
「私みたいに染まってみろ!」って、空に意地汚く笑うのだ。
でも空は、お構い無しに、あの夕焼けの綺麗なあかいろをつくり出した。
「空にも真似できない、私の赤はすごい!」
私は自画自賛する。
そして虚しいそらいろに染まってった。
「なぁんだ、なれるじゃないか」
呟いて、また違う色に染まってく。
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