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「それは、それは。あの狼のような男にそこまで言うとは…」
と、芹沢という男は怜をまじまじと見つめる。
談笑していた他の男たちの視線も怜に向けられている。
「いや、だから私は事実を言っただけで…」
怜は反論しようとしたが、皆は聞かなかった。
「ははは! 気に入った。永倉君この怜さんに旨い料理や酒を頼んでやってくれ」
「承知しました」
「あの~……」
何だか勝手に話を進める二人に、更に困惑する怜だが…
永倉は芹沢と談笑した後、女中に料理を持って来させようと部屋を出た。
「あっ、待って!」
こんな訳の分からない連中の中に一人で残されてはかなわんと、怜も永倉を追って部屋を出る。
「怜さん! いいからここでゆっくりしていけ」
後ろからそんな台詞が聞こえてきたが、怜は
(冗談じゃない)
と思いながら、永倉の後を追っていった。
「どうした怜さん?」
体がデカイ分、歩幅も大きな永倉にようやく追い付くと、永倉は不思議そうに怜を見た。
そんな永倉に、怜は何だか怒りが爆発しそうだ。
「どうした? じゃないわよ!
こっちは薬を買ってくれるって聞いたから、こんな所まで来たの。
ただの酔っ払いの相手をさせられるために来たんじゃないっての!」
と、芹沢や他の男たちの事を思い出し、怜は身震いする。
その怜の様子を見て永倉は
「悪かったな。初めに話すべきだったな」
と言い、芹沢たちの事を話していった。
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