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「あの芹沢さんって人は、俺たち壬生浪士組の筆頭局長なんだ。
だから、あの人があんたを気に入れば薬も買ってくれるかもしれないと思ってな」
申し訳なさそうに頭をボリボリ掻きながら言う永倉に、怜も
「それならそうと、早く言ってくれたら良かったのに」
と納得したが、また疑問が浮かんだ。
「ん? あれ…局長って、あの近藤って人じゃないの?」
確か土方に追い出される前に親切に話を聞いてくれた男。
その近藤という男が、自ら局長だと名乗っていたはず。
まあ、詳しい話を聞く前に、あのクソ土方(と、怜は心の中で思っている)につまみ出されたから、よくは知らない。
そんな怜にも分かるよう、永倉が説明してくれた。
「壬生浪士組ってのは、内部関係が面倒でな。
今、あんたが言った近藤さん派かさっきの芹沢さん派かで派閥みてえのが出来てんだ」
それで両者の顔を立てるため、局長二人に副長(クソ土方も含め)三人という、何とも複雑な組織になったそうだ。
「だが、今のところ芹沢さん派が近藤さん派を押してる」
「へぇ…それはめんどくさいね。
そんで、あんたはどっち派なのよ?」
「いや。俺はどっち派とか気にせず接しているつもりだ。
そんな派閥にこだわるなんて、小さい小さい」
顔の前で手を振る永倉を見て、怜はなんだか永倉に同情してしまった。
まあ、今はそんな事より…
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