3人が本棚に入れています
本棚に追加
時間をとられている場合じゃないわ、早く行かなくちゃ。
小走りで進もうと決めた瞬間、ぐい、と後ろに腕を引かれて、止められる。
「……離してください。家には戻りません。あなたに迷惑もかけません。ここでさようなら、です」
「カンベンしてよ。それでキミがウルフに食われているところなんか見たら、俺の寝覚めが悪いって」
「だったらここであなたと私は会っていません」
「そういう問題じゃないだろう」
参ったなぁと言わんばかりの彼の声。
わかってる、彼が正しい。私は家に戻るべきなのだ。
そして、ベンデッタのご子息と結婚し、子を産み、両家の更なる繁栄を喜ぶべきなのだ。
だけど、だけど。
「でも、何も知らないのに余計なことを言ったのは事実だ。ごめん」
「……え?」
.
最初のコメントを投稿しよう!