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目の前に突き出された上質な紙に並ぶ綺麗な字を淡々と目で追っていくと、そこには……。
『なにこれ……婚姻の申し込みをいたしますって……どういうこと!?』
『なにって、あのベンデッタ家からの結婚の申し込みよ~!』
そう、要するに、だ。
隣町には、それはそれは旧くから農耕で栄えたベンデッタ家という名家がある。
ルーゲルダ家に更なる繁栄をもたらすべく、ベンデッタ家との友好的な関係を築こうと考えたバカ親父は、私とベンデッタのご子息との婚姻話をこっそり進めていたんだとか。
冗談じゃないってば!!!!
私だって、わかってるよ。いずれはどこかにお嫁に出なくちゃいけないことくらい。
だけど、まだ恋をしたことすらないのに、結婚なんかできないったら!
そう反発してみたけれど、あのベンデッタ家からの申し出を断るバカなんて、それこそいない。
広大で肥沃な農地、抱えている家畜の数だって比べ物にならない。
娘の言葉に耳を貸さない両親に生まれて初めて愛想を尽かした私は、決行することにしたんだ。
家出してやるんだからー!!!!
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