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意気込んで家を飛び出してから、とりあえず西に向かって歩いた。
東に向かえばベンデッタ家から戻るお父さんとお母さんに見つかる可能性があるから、っていう安直な理由で。
だけど私の家―――ルーゲルダ家があるドレンという街から西には、広い広い森が広がっている。
「ちょ……ちょっと休憩……」
すぐ傍の木に寄りかかるように座ると、ボストンバッグから水筒を取り出した。
こくこくと飲み下す水の冷たさが、ありがたいなぁ。
ふぅ、と一息をついて、私は木々の合間から覗く空を見た。
「こんなに遠かったっけ、ご神木まで……」
この森にはドレンの農耕を支えている資源がたくさんあって、そのほぼ中央にはすごく大きな木が一本立っている。
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