第二章 親睦会

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「だってさ~、昨日買ったばかりのゲームやり始めたら止まらなくってさ~。りなだってよくあるでしょ?」  はぁという風に大きな溜息をついて案の定だったらしい。 「無いよ、それどころかゲームは買ったことすらやったことすらありません」 「うそでしょ!? それ、人生の八割損してるよ」 「そこ!! 来たのなら早く列に加わりなさい」 「は~い」  これでようやく班員も全員揃い心置きなくバスに乗り込める。校庭の入口に五台のバスが集合する以前から止まっていた。運転手さんは大変だな……じゃなくて、僕らB組はフロント部分に大きく厚紙のような物が貼られているバスに乗り込む。誤って違う車に足を踏み入れれば奇異の視線の矢が飛んでくる。それに、座る場所も無い。まあ大抵は周囲を確認すれば違うクラスだと解る筈だ、馬鹿でなければ確実に。 「中学の社会科見学思い出すねー」 「あの時もバスだったしな」  僕らの席は極端に前でも後ろでも無く、本当にちょうど真ん中辺り。はっきり言って面白くない位置だ。五人も理解していたはずだけど、いざ席に座ると言葉にできないが心中で思うところがあるらしい。各々、微妙な表情になっている。正確には四人か。四方田君は席に深くもたれて早々に眠りに落ちていた。松山さんの肩に顔を埋めて。松山さんは嫌そうだ。 「二人だけで話してないで咲とも会話してよ~」 「あ、ごめん咲さん。こいつが話し掛けてくるから」 「だって思い出したから、……咲は中学の頃社会科見学バス?」 「違うよ~、うんとね、確か電車で近くの海に」  ここで反対側に座る松山さんも四方田君を肩から下ろして闖入。 「そうだったわね」 「へー……てっ、あれ? 二人とも中学一緒なの」 「言ってないかしら」  春はぶんぶん首を左右に振る。どうやら入学してから学校では離れず仲良くしていた春でも、松山さんと咲さんが幼馴染みだとは知らなかったようだ。 「聞いてないよー、驚いたよ」 「別に聞かれなかったから、あたしから切り出さなくてもいいかなって」 「たまに二人が妙に仲が良いから羨ましいなっ……て、思ってたけど理由はそれか。じゃあ入学式の日全然喋らなかったのは?」 「あれは……何日か前に喧嘩したからだと思うわ」  春の隣の咲さんも過去の思い出話でも打ち明けられてるように恥ずかしそうに頷いてる。 「そうだったの」 「ええ」
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