第一章 優しい人達

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こんなに熱いというのにクラスの連中は何が楽しいのか趣味の話をしたり昨日のテレビの話そして好きな人の話をして笑いあっている。理解できない。僕は一人で空を眺めてるのに対し春は数人の女子や男子に囲まれて笑顔で談笑している。  案の定今週末に行われる親睦会のグループ決めだった。はっきり言ってどうでもよかったどうせ余ったところに入るんだから。黒板でこくこくと決められていく様は傍から見ればジグソーパズルのピースが填められていくようだった。でも、最後のピースだけはどこのグループも加えたがらないようだ。 「お前達~、久崎もクラスの一員なんだからどこでもいいから入れてあげなさい」  しかし、皆顔を見合わせるだけで決まる気配がまるでしない。さすがに待ってる方の僕もしんどくなってきた。全員からの何でこいつ余ってるんだよと視線が怖い。自分でおののいてるのが解る。 「ちょっと待って、私達のグループが大丈夫です」 「……え」  そちらを見やれば春だった。春のグループは春が言うんだったらの渋々と言った感じが見て取れた。 「そうか、じゃあ久崎、お前は六班だ」 「は、はい」 「涼ーこっちこっち」  教室の後ろの窓際で手招きをして呼んでくれた。他の班員は話を進めている。 「……どうして」  言い掛けてやめた訊かなくても分かり切ってる事だ。彼女は昔から僕をほっとけない性格だからな。彼女に勧められて手近に座ったのはいいものの班員の会話に交じれない。 「まず自己紹介でもしてみる?」 「いいけど皆知ってるでしょ」 「いいじゃんいいじゃん再確認ってことでそれに盛り上がるし」  盛り上がるのか? 「そうだね」  春も承諾してるよ。グループは五人。 「あたしからする、あたしは松山 りな趣味は~アロマキャンドル収集かな。特技は軽い大急手当」 「次は俺か、四方田 匠趣味はナンパ。特技はまあ…………彫刻」 「なにそれ渋っ」 「仕方ねぇーだろ親父が彫刻家で小さい頃やらされてんだ」 「へぇー、英才教育って奴だ。好きなの?」 「中学の時は嫌だったけど今は好きだし自分で進んで教わってる」  その場に居た皆深頷き感心していた。 「俺はもういいだろ! 次いけよ」  もう滅茶苦茶だ時計まわりでも何でもない。 「次咲がやるー、咲は篠原 咲。趣味はネットサーフィンとかゲームかな~特技は新作ゲームを三日でクリアすること」
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