第一章 優しい人達

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「まだ夕飯の支度まで時間あるから話でもしようよ」 「嫌だよ、僕は疲れた少し眠りたい」 「じゃあ涼の好きな漫画の話かそれともゲーム一緒にやる?」 「だからいいって」 「そっかー、私じゃダメか~」 「なんだよそれ」 「私より咲との会話の方が楽しいんでしょ」 「別にそんなこと言ってないじゃん」 「だって一限の班決めが終わっても咲と楽しそうにしてた」 「あれは……あっちが話し掛けて来たからそれに応えただけだよ」 「本当?」 「本当だよ」  これ以上はややこしくなるから付き合ってやるか、眠いけど。 「結局何するんだ?」 「う~ん、無いかも」 「……なら寝る」 「うそうそ待って、決まったからこっち来て」  あまりにのそのそと行動していたら引っ張られた。そして、あろうことか自室のフローリングに横たわり僕の頭は春の膝の上。そう、 「久々だね、膝枕するの」 「普通に枕で寝たいんですけど」 「贅沢言わないの、こんなこと幼馴染みだからやってるんだよ」  僕は黙った。確かにそうだ。 「こうやって膝枕するの久しぶりだね」 「ああ」 「最近は全くしなくなったね」 「高校生にもなってしてられるかよ」 「はいはいそーですか、でも小学校の頃はよくこうしてたのに」 「……あの頃は」  一瞬脳裏に小学校の時の毎日を思い出した。あれは、毎日が幸せだったな。 「小学校が終わると家にも帰らないで五人で遊んでたな~、あの頃の涼は毎日笑顔で好きだったのになぁ。今はあんまり笑わないよね」  そう、僕は五人で遊んでいたあの日常が最高で幸せだった。けど、中学に進学する時三人が親の意向で地元を離れ私立の中学校に進学が決定した。地元の中学に進学したのは結局僕と春だけだった。それからというもの、三人とは疎遠となり僕は鬱になり一度は自殺を実行しようとしたが春によって阻止された。それ以来、僕は笑顔を失い春は再び僕が自殺をしないように付き添うようになった。僕は春を束縛してしまっている。 「そうだ……ね。………………春ごめん」 「どうして謝るの?」 「いつも一緒に居てくれるのは嬉しいけど、春を束縛してしまってるから」 「……」 「……本当ごめん」  春は微笑み、僕に優しく話し掛けてきてくれた。 「あの事まだ気にしてたの? 私はもう気にしてないよ、それよりね私はね涼と一緒に居たいから居るの。心配だからだとかほっとけないとかじゃないの」
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