目が覚めたのは公園でした

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桜の花びらが舞っている中を俺は歩いていた。季節は春、今日は高校の入学式である。 入学式といえば新しい出会いにワクワクドキドキするところだが、俺にはなぜかその様な感情はあまりない。 なぜなら―― 「ねぇ、桜って不思議だと思わない?」 十中八九、今隣りを歩く幼馴染みがいるからだろう。 幼馴染みがいる、というとリア充というものに思われるかもしれないが、そのような空気が桃色になりそうな関係ではない。気付いたら一緒にいた、そんな関係だ。 「なにがそんなに不思議なんだ?」 質問に質問を返しながら、今までの学生生活を振り返る。 どの思い出にも隣りの幼馴染みがいる。他の友人がいないわけではないが、いつも二人でいるため自然と他の友人と親交を深める時間は少なくなる。 これが俺が環境が変わってもワクワクしない理由である。とはいえ今の関係が嫌なわけではない。むしろ楽しく、好きといえるだろう。
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