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プロローグ
6月12日・午後0時30分
「はぁっ!!」
身の丈を超える鉾に変形した〈フルート〉を、アギラは無造作に振り回した。
その攻撃を受けて、アギラを取り囲んでいた者達は吹き飛び、1人残らず気絶した。
誰も立ち上がってこない事を確認したアギラは、鉾を無言で右肩に乗せ、周りに目をやる。
建物から立ち上がる黒煙。
瓦礫に下敷きにされた人間。
全てが現状を異常と証明していた。
そして何より異常なのは、自分も含め、魔導師軍の人間が戦っている相手だった。
アギラはたった今自分が倒した相手の1人を見る。
そこには、自分と全く同じ軍服を着ている人間が倒れていた。
つまりアギラを襲ってきた者達もまた、魔導師軍の者なのである。
「隊長達の悪いカンが当たったってぇのか……」
{そうとしか考えられません。}
鉾に変形した〈フルート〉がそう言う。
「一斉メンテやったんじゃねぇのかよ。」
{しかし、この現状は―――}
〈ヒラルダ〉は待機状態のままそう言う。
その直後、アギラは咆える。
「クソッタレがぁ!!!!!」
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