第一章 香川 慶太

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峰岸と言うのは母方の親戚であり、俺が学校に居る時間に訪れ、ゴミをまとめたりちっぽけな食費を置いて帰る。母の死後、それだけの関係が半年間続いている。きっとこの女も、自分の妹が殺された家に訪問などしたく無いだろう。 俺はその叔母からの手紙を勢いよく破り捨て、ゴミ箱に投げ入れながら足の踏み場も無いリビングに入る。散在している漫画やCDの山を踏み越え、制服を脱いでハンガーにかけた俺は、部屋着に着替えて台所に戻る。 椅子に座り、大きなため息をつきながら冷蔵庫横の壁に視線を集中させる。そこには、包丁が突き刺さった生々しい跡がクッキリ残っていた。 そう、半年前に俺の父は母を殺した。
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