第一章 香川 慶太

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そんな父を鬼に変えたのは、母にも原因はある。父の目を盗んではスナックに訪れた若い男を家に連れ込み、性行為を繰り返していたのだ。学校から忘れ物を取りに帰った時、一度だけ現場を見てしまった俺に、母は口止め料として壱万円を握らせた。その日から俺の母に対する愛情は冷め、親子関係に大きな溝が出来てしまう。 母の汚さに吐き気がした俺は、口止めさせようとした行為をこと細かく父に説明した。案の定、父は怒り狂い、優しかった父は跡形もなく消えていった。 今思えば、家庭を壊すキッカケを作ったのは俺なのかもしれない。ただ、自分の中の正義感が母の行動を許せなかったのだ。
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