第六章 砂時計

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8:12 部屋で行われた彩乃と母の会話を録音していた篠崎は、何度もリピート再生しながら満足そうな顔でパソコンを見つめる。 『相変わらず可愛い声だね……彩乃。 ママも声がそっくりだから、きっと彩乃に似ているんだろうね……。 でも彩乃の声、辛そうだったな……。 きっと大切な人とか言う存在が彩乃を迷わせ、苦しめているんだね。 このままじゃいつもの健康的な彩乃を僕の部屋に招待できなくなってしまう……。 早急に手を打たないといけないな』 そう考えた篠崎は松浦千沙のアドレスを表示し、文章を打ち込んで送信する。 送信完了の画面を確認した篠崎はベッドに潜り込み、隠し撮りしていた彩乃の写真を見つめる。 『もうすぐだ……もうすぐこんな写真なんかじゃない本物の彩乃がこの部屋にやってくる……』
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