第六章 砂時計

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自然に足は歩くのを止め、メールの画面を見つめたまま呆然と立ち尽くす千沙。 その千沙の目に、いつもと違う暗い表情で校門に入っていく彩乃の姿が映る。 小走りで彩乃に近づき話しかける千沙。 「おはよ彩乃。 昨日はゴメンね……電話出れなくて」 「えっ、うん……大丈夫、彼氏と一緒だったんでしょ? 邪魔してゴメンね」 「邪魔なんて思ってないよ。彩乃……なんか悩んでるでしょ? その表情、普通じゃないもん。 よかったら今日学校終わったら彩乃の家に行ってもいい? 久しぶりに色々話聞きたいし」 昨日とは正反対な千沙の言葉に違和感を感じながらも笑顔で答える彩乃。 「ありがとう……。今日、彼氏はいいの?」 「いいのいいの、彩乃の方が大事だし!」 千沙はニコニコ笑いながらそう言い、上靴に履き替えて彩乃と共に教室へ向かっていく。
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