第一章 香川 慶太

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仕事を失い、妻の愛も失った父に残されたのは、何も無い空っぽの毎日。そんな毎日だからこそ酒が必要で、現実から目を背ける為にギャンブルを続けていたのかもしれない。 母はそんな父から逃げるように頻繁に家から出て行くようになり、たまに帰ってきては俺に食事を作ってくれていた。しかし、そんな日々も長くは続かず、半年前に父は母を殺すことになる。 俺の目を見ながら、もう二度と浮気はしないと言った母も、真面目に仕事を探すと言った父も、結局は口先だけの誓いを振りかざしているだけで、中身は腐ったままで、過去の二人に戻ることなど無かったのだ。
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