第六章 砂時計

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3階に辿りついて廊下を曲がった瞬間、慶太が廊下で黒岩と話をしている姿に彩乃は気づいた。 思わず声を掛けてしまいそうになるが、千沙が横に居る事もあって早足で通り過ぎていく彩乃。 その不自然な様子に気づいた千沙が彩乃に話しかける。 「いいの?あいつに何か話す用事あったんじゃ……」 「ん……別に何もないよ」 「そっか……もしかして彩乃、私が昨日言った事気にしているのかなって思って……。あれ、嘘だから気にしないでね。 あの時はイライラしていたから思っても無いこと口にしちゃってさ。 別に彩乃が香川の事をどう思っていようが、私たちの友情は何も変わらないから」 彩乃の目を見てそう告げた千沙は、先陣を切って教室の扉を開いた。
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