第六章 砂時計

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12:55 昼休み、慶太は2組の教室前で彩乃が弁当を食べ終わるのを待っていた。 彩乃と目が合った瞬間、無表情で手招きする慶太。 それに気づいた彩乃は、まだ残っているお弁当の蓋を閉じて立ち上がる。 一緒にお弁当を食べていた千沙が何事かと思って廊下を見ると、下を向いて壁にもたれている慶太の姿がある事に気づく。 「ゴメン千沙、ちょっと出てくるね」 千沙にそう告げて小走りで廊下へ出ていく彩乃。 千沙は篠崎からのメールを見直し、溜息をつきながら食事を進めた。 廊下に出た慶太は困惑した表情で言葉を待っている彩乃に、下を向いたまま話しかける。 「ここじゃ話しにくいから屋上へ行かないか?」 「え……うん」
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