第六章 砂時計

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廊下を颯爽と歩いていく2人に様々な視線が向けられ、噂話が広がる。 1年の時、彩乃と同じクラスだった女子生徒も驚いた表情で顔を見合わせる。 「何あれ……彩乃どうしたんだろ。 一緒に歩いていたのって殺人鬼の息子よね?」 「も……もしかしてあの2人付き合っているとか?」 「彩乃に限ってそれは無いでしょ。 あの子理想高かったし、親が厳しそうだから殺人鬼の息子が彼氏になるなんて許さないんじゃない?」 「でも香川って顔だけみたらイケメンだよ?」 「おとぎ話の王子様じゃあるまいし、イケメンで心も綺麗な人間なんて居ないって。 それに、育った環境に差があり過ぎるからあの2人が恋愛しても先は見えないよ」 そんな噂話をされている事など知らない彩乃は、慶太と一緒に屋上の重たい扉を開く。 雨が降っている事を忘れていた慶太はしまったと言う表情で屋上踊り場の壁にもたれる。
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