第一章 香川 慶太

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涙でグシャグシャになった顔から血の気が引いて青白くなっていく母の顔は、今思い出しても恐怖で全身に寒気が走る。父の鬼のような目と獣のような叫び声も、目を閉じるたびに浮かび上がってきてしまう。 目の前で父が母を殺すなんて、幸せな家庭の中で育っている人間からすれば考えられないだろう。俺はその考えられないシーンを目の前で見せられた。こんな事態になる前に、喧嘩を止めるのが正常な息子としての行為だろう。しかし、その時の俺の精神状態は、父の味方も、母の味方も、出来ない状態だった。
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