第一章 香川 慶太

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この年齢で死に場所を探しているなんて言ったら、病気や貧困で苦しんでいる人に怒られるだろうか。そういった事を頭に思い浮かべても、闇しか見えない俺にとっては最終的に行き着く答えは【死】という一文字だけだった。 この五百円玉を置いていった峰岸という叔母も、内心では俺がこのアパートから出ていくのを首長くして待っているのだろう。母がヘソクリに溜めていた五百万円ほど入った通帳も、今は叔母の手の中にある。 そこから俺の住んでいるアパートの家賃や食費を払っているらしいが、今まで千円札を置いていた食費が五百円玉に変わった所を見るとその貯金もほとんど使い切ったのだろう。
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