第一章 香川 慶太

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俺は五百円玉をポケットにしまい、夕食を調達する為にコンビニを目指す事にした。 外に出ると、小雨だった雨は既に上がり、俺の心とは正反対な綺麗な虹が空に滲むように浮かんでいた。階段を降り、コンビニに繋がる路地を曲がってしばらく歩いていると、幼稚園くらいの少年の姿が目に入る。 ボーッと立ち尽くして虹を見つめている少年の周りには親らしき人間は存在せず、たった一人で何も手に持たずに人形のように立っている。奇妙に思いながらその少年の横を通り過ぎようとした時、少年が子供とは思えない口調で俺に話しかけてくる。 「ねぇ、お兄さん、ちょっと待って欲しいんだけど……」
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