第一章 香川 慶太

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しかし、俺の目には誰の姿も映ることは無く、真顔でジッと見つめる少年だけがそこに居た。逃げ出したい気持ちになりながらも、少年の言葉が気になる俺は震える声で話しかける。 「あんまり嘘をつくといい大人にならないぞ。親は何処に居る?」 「嘘じゃないよ。お兄さんの顔に死相がハッキリと出ている。お兄さんの消命期限は、残り七日と六時間。今重い病気に掛かっていないとしたら、事故か殺人でこの世を去る事になる」 子供が喋っているとは思えない大人びた話し方と内容に、俺の顔はどんどん青ざめていくが、表面的には冷静に頭を整理しながら言葉を返していた。 「死神ごっこか?そのふざけた設定、幼稚園で流行っているのか?」
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