第一章 香川 慶太

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俺の斜め前に座っているほとんど絡んだ記憶のない斉藤という男子生徒が面倒臭そうに立ち上がり、眠たい声で答える。 「二十四センチ……」 「ほー、良く出来たな。前回の中間テストがクラスで下から数えて右手で十分のお前にしては……」 この担任はいつも余計な一言が多い。よく出来ましたの一言で終わりにすれば、嫌な空気にならずに済む事が理解出来ないのか。そういう無意識に放つ一言がどれだけ人を傷つけ、どれだけ怒りを彷彿させるか考えた事も無いのだろうか。 小さな傷が積み重なると大きな傷となり、その人の人生を時には狂わせてしまうこともある。少なくとも、この馬鹿な教師や、単細胞なクラスメイトにはわからないだろう。
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