第一章 香川 慶太

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「香川君、今の先生の言葉、酷いと思わない?」 時代劇などで悪代官に耳打ちするように手を口にあて、小声で話しかけてくる女子。 『よく言うよ。お前も昨日、表面上だけ仲良くしているクラスメイトの事をボロカスに言っていただろう?』という本音は喉の奥に仕舞いこみ、「そうだね……」と俺は無愛想に答えた。女は満足そうな顔で再び教科書に目を向ける。 人間という生き物は自分を正当化するために、他人を批判するものだ。そして、いざ自分が批判をされる側になると、激昂して他人の悪い部分や弱い部分を探しては叩く。それの繰り返し。
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