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減っていくカウントを青空はまじまじと見ていた。対照的に若草は焦り出していた。
「青空!ボーっとしてらんないぞ?カウントがゼロになったら......」
「ゼロになったら?」
青空はゲームについての知識はあまり無いようだ。若草は青空の手を引いて歩き出した。
「タイムオーバーで......死ぬ」
「......は?」
今更だがこの二人は【狂戦士】とまで呼ばれるほど戦に惹かれ、戦に愛された男たちだ。
いつだって命を懸けて戦ってきたし、何度も命を落っことしそうになってきた。深手の傷も負った。
だから、戦で死ぬ事に躊躇いは無い。それは彼らにとって本望だろう。
しかし、こんな訳の分からない世界で、タイムオーバーだなんてふざけた理由で......死ぬ?
「......ありえない」
青空は、小さくだがハッキリと呟いていた。
このクエストはまだ達成されてないし、とても美しいと噂のお姫様だってこの目に拝んでいない。
「行くぞ、若草。ソッコーでクリアする」
「そうこなくちゃね!」
「とりあえず、その気色悪い手を離せ」
若草は青空の手を握ったままだった。
何より、報酬だって受け取って無いんだから、やっぱり死ぬ訳にはいかない。
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