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青空と若草は気が付くと海のど真ん中にいた。
「はっ!はぁぁぁっ!?」
叫んだのは若草。若草は海が苦手なのだ。
「若草、落ち着け。船の上だ」
青空が落ち着いた声でそう言うが、若草には聞こえていないようだ。
辺りは透き通る程に透明な海水が満たされている。ゆらゆらと海面が静かに揺れるのに合わせて、船も揺れる。あまり大きい船ではないので波の影響をもろに受けそうだった。
「......この船でどこかに行けばいいのか......?」
青空がそう呟いた時。
何かが海の底で振動したかのような小さく、でも強い衝撃が船から青空の身体に伝わった。
「若草......」
若草に注意喚起しようとした青空は、ビクリと身体を強張らせた。
「海とか!!ありえねぇ!!俺泳げねぇのにぃ......!!」とか何とかほざきながら落ち着かない様子の若草の背後から、にゅるにゅると何かが水面を突き抜けて出てきたのだ。
それは、人間の胴よりも明らかに太い......タコの足だった。
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