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「だぁぁっ!!」
俺は急接近して直ぐに和に斬りかかる。
速度、タイミング、威力。これら全てを兼ね備えた一撃だった。
しかし。
「…遅ぇよ。」
和は、そんな一撃を片足で易々と受け止め、そう言った。
「なっ…!?」
避けるのではなく、受け止めた…つまり、和は俺のスピードと同等…いやそれ以上のスピードで足を動かしたということになる。
それも、本気ではなく。
「ちっ!」
俺は一度、和から距離をとろうと後方に飛ぶ。
「言ったろ…何をするにもトロくせぇんだよ!」
しかし、和はそんなことを許さず俺の足首を掴むと、そのまま地面に叩き付ける。
「ごばぁっ!?」
その衝撃で肺に入っていた空気が一気に抜け出るが、和が足を上げているのを見て、痛みに堪えながら横に転がる。
直後に俺がいた所に和の足が振り下ろされる。
ズズン!という音を発して、足は床にヒビを入れる。
「逃げ足だけは速いみたいだな。」
先程の明るい雰囲気は一変し、新たに恐ろしい雰囲気を醸し出している和。
今の彼が、さっきまで話していた人間と同一人物だなんて、考えられない。
それくらいの豹変ぶりだった。
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