第一章 即興劇『茶飲み話』

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木造とは案外音が響くもので、手を取るように第三図書室に近づいてくるのが分かる。 タイミングを合わせて紅茶を淹れらるよう茶器を温めているうちに、おおよそ予測通りのタイミングで扉の開く音がした。 「クッソーッ!何処だよここ何だよこれ!」 「実に珍妙な挨拶だ、最近の流行りかね?」 「ゲッ、アッキー!?」 私をアッキーと呼ぶ馴れ馴れしい人間は数少ない。我が劇団の主演兼カオス学園抑政会総会長、狗夜也海君だ。 あとから追いかけてくる二人にも見覚えがある。 高崎宗君と天野鈴和君、どちらも学園の要職に就く二人だ。 朝から追いかけっことは勤労の辛さが身にしみるものだ。 ならばこの私自ら、その労に報いようではないか。 そしてついさっき考えた即興劇の始まりを今出来る最高の笑顔で告げる。 「やあ諸君、この奇縁を祝し紅茶でも飲んで一息つけないかね? 白金君に輸入させた最高の紅茶を今さっき淹れ始めたところなのさ」
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