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(いよいよだわ……)
ひとり胸につぶやいて、姫はほっそりした白い指をきゅっと握りしめた。
期待と不安の入り交じった嘆息が、薔薇色の唇から漏れる。
「いよいよ今夜ね」
今度は口に出してつぶやき、胸の高鳴りをもてあまして、姫は四阿の支柱に細い腕を絡めた。
その時。
「姫さま、こんな所にいらしたんですか」
捜しましたよ、というニュアンスをこめて、侍女のリディアが走り寄ってきた。
「珍しいですね、ひとりで庭にお出になるなんて」
「何だか、じっとしていられなくて」
わかるでしょ、という思いをこめて、姫はそのぱっちりした瞳をリディアに向けた。
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