第4章

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ジュディスの案内で、セレスティーヌは城の庭園に出た。 ロゼリアンヌ帝国の王城の庭園は薔薇園や四阿が多く、ロマンティックな雰囲気に満ちていたが、リリアード王国の城の庭園は森林が多く、シンプルな印象を受けた。 緑深い森の小道を、セレスティーヌとジュディスは森林浴を楽しみながらゆっくり歩いた。 ジュディスが庭園へ誘ったのはセレスティーヌの気を紛らわせるためだと、セレスティーヌにもわかっていた。 見た目にたがわず、繊細で心優しい少年らしい。 (いい子だわ……) 隣を歩くジュディスに、セレスティーヌは遠慮がちな視線を投げた。 ななめに射し込む木洩れ日を浴びて金色の髪がキラキラと輝き、ジュディスのあでやかな美貌を眩しいぐらいに際立たせている。 セレスティーヌは数瞬、声もなく見とれた。 エティアスはあんな風に言っていたが、モテないなんて信じられない。
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