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人の良さそうな顔に優しい微笑を浮かべて、リディアは「大丈夫ですよ」と頷いてみせた。
「今夜の舞踏会は知る人ぞ知る秘密の舞踏会ですし、メンバーも限られています。もちろん、高貴な身分の方ばかり。護衛がなくても、姫さまの身に危険が及ぶことはありません」
「まぁ、リディアったら。あたしはそんなことを心配してるんじゃないわ」
大きな目をさらにみはって、姫は可憐な唇をとがらせた。
「初めてなんですもの。その……殿方と接するのは……。普通に話せるかしら。今から緊張しちゃうわ」
「大丈夫ですよ、セレスティーヌ姫。私がお側に付き添って、アドバイスしてさしあげますから」
リディアは胸をはって、茶目っ気たっぷりにウィンクしてみせた。
セレスティーヌをリラックスさせようと、気を使っているのがわかる。
セレスティーヌはほんの少し安堵して、「ふふっ」と微笑した。
いつも側にいてくれる、気心知れたリディアが一緒なら、何とかなりそうな気がした。
姫付きの侍女リディアは誰よりもセレスティーヌを理解し、温かな優しさで常にセレスティーヌを包んでくれている。
ある意味、肉親よりも近しい存在と言えた。
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