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「姫さまもお気の毒ですよね。蒼雪姫(あおゆきひめ)としてお生まれになったばかりに……」
彼方へ視線を馳せて、リディアはしみじみとため息をついた。
その表情がどこか辛そうに見えたので、セレスティーヌは慌てて言葉をとり繕った。
「まぁ。あたしは自分の運命を呪ったことは1度もないわ。蒼雪姫としての使命も立派に果たすつもりよ。あたしの存在が世界を救うなら、むしろ嬉しいわ。別にいいのよ、それまで男の方と接触できなくても……」
それは、セレスティーヌの本心だった。
蒼雪姫として生まれたことも、異性と一切接触できないことも、不満に思ったことはない。
今年が例の三千年めに当たることも、多少のプレッシャーは感じるものの、それが自分の運命なら受け入れようと思っていた。
「それにしても、ここまで厳重に警戒しなくてもねぇ……」
リディアは、不服そうに眉をひそめた。
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