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紫子はジョルジュをおろし、ぐったりと横たわる男の子に歩み寄った。
ジョルジュもそれに続く。
金髪・ドラゴン・ツルツルマッチョは、冷凍の魚みたいに固まって直立したまま微動も動かない。
男の子の頭もとにしゃがんで顔を覗き込んだ。
「だいじょうぶでございますのぉ…」
男の子は目をつぶったまま動かない。
わずかに胸のあたりが上下しているので呼吸はしているようである。
紫子はゆっくりと手を伸ばし彼の頬に触れた。
「暖かくございますわぁ…(フワッ)」
すると、歪みきった眼鏡のフレームの奥にふたつぶの光が見えた。
「…目がお覚めになったのでございますねぇ?…
…よかったですわぁ…」
紫子の顔はほころび、頬から手をそっと放した。
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