天上院雅直彦の苦悩(?)

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「雅直彦様~!」 ジイヤが息をきらせながら走ってくる。 雅直彦は声のする方へ視線をやり …あんなに走って…草に足を取られなければよいが… と自分を赤子の頃より面倒をみてくれたジイヤを思いやる。 「ジイヤ…! そんなにあわててどうしたのだ?」 「大変でございます!」 ジイヤは息を切らせ雅直彦の前で足を止めた。 「何をそんなにあわてておるのだ?」 「この前お屋敷においでになったマリー・ポルネシアン嬢が雅直彦様にお会いしたいと申して…」 雅直彦はジイヤの言葉を遮って 「もう終わった!と伝えてくれ!」 「しかし…」 わざわざオーストリアからおいでになられたのでございますよ!」
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