天上院雅直彦の苦悩(?)

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「……………」 大熊は音もなく崩れ落ちていく。 「……………」 雅直彦はよっくりと刀を鞘におさめ大きく息を吐いた。 目を開けると巨体が力なく横たわり、大熊の顔は時間が止まったかのような勇ましい顔をしている。 居合道の達人といっても実戦に使ったのは初めてである。 雅直彦は心臓を落ち着かすべく、もう一度大きく息を吸った。 「…死んじゃったの…?」 と袴の裾を引っ張る美少年はか細い声で、心なしか震えているように聞こえた。
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