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「あっ…えっと、大丈夫ですか?」
少し気まずいような、心配そうな君が俺に聞く。
「あっうん。ごめんね。変なとこ見せちゃって」
あー。引かれてるよな。
「いえいえ。それより、学校、遅刻ですよ?」
あ。
…もーいーよな。
どうせとっくに遅刻だったし、今更急いだって、何も変わらない。
「いや、もういいや。開き直ってゆっくりいくよ」
「そうですか」
ふふふ、となんだか楽しそうに笑う彼女。
やべーちょーかわいー。
そんなことを考えていると、あることに気づいた。
「あれ…?なんで傘さしてないの?」
彼女は傘を、指していなかった。
それどころか、年は俺とおなじくらいなのに、制服も着てない。
私服高校なのかとも思ったけど、そうでもなさそう。
彼女が身につけているのは、白いタンクトップのロングワンピースにパーカーを羽織っているだけ。カバンも何ももっていない。
「あ…この辺を散歩してたら、急に雨が降ってきちゃって…」
「学校は?行かないの?」
「私、昨日引っ越してきたんです。新しい学校は、明日から行きます」
「あっそうだったんだ。名前聞いていい?」
「月島美香です。17歳の高校二年です」
美香…ちゃん?
なんて呼ぶべきなんだろう?
とりあえず、俺も名前言うべきだよな。」
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