プロローグ

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大学生は非常に気楽である。それ故、出掛けては金を遣う。例えば娯楽費だったり、外食費だったり。 しかし、有馬修治はそのどちらにも金を遣うわけではない。有馬は一人暮らしをしている大学二年生である。家賃や光熱費、食費は全て自分持ち。その理由は有馬が両親の反対を押し切り、一人暮らしをした為である。その代わりちょくちょく仕送りが来たりする。だが、それでも限界がある。有馬は今、アルバイトを一つしている。 生活費を稼ぐためにもう一つアルバイトを掛け持ちしようと思い、求人案内を見ているのだ。 「あー……時給高いとこないかな」 そう呟き、深い溜め息を吐く。求人案内に書いてあるものはどれもピンと来るものではない。 困ったものだと鯖の味噌煮に手を付ける。そろそろ時給の良い所を見つけなければ破産してしまう。念願の一人暮らしに終止符を打ちたくもないし、両親を頼るわけにはいかない。 「やばいなぁ…」 「有馬!隣良いか?」 「良いよ」 箸を持つ手を止めて、声を掛けてきた友人である男に話掛ける。 「有馬、お前また鯖の味噌煮かよ」 「お前と違って生活苦しいんだよ。これが一番定食の中で安いし」
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