セレス・メルカトル

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
世界が終わりを迎えるとき、終焉を告げる鐘の音が鳴り響く。 それは何の比喩でも、法螺でもなかったのだと、世界中の人間に覚悟もできないままに、強引に刻み込まれた。 それは数日前の事だった。 時刻は確か昼。仲の良い友達と昼食を取っている時だった。 唐突に、響いたのだ。 身の毛もよだつような、血の気が引くような、何とも言い難い不吉な叫びが。 その後の調査の結果、その叫びは不思議なことに全国に轟いていた。これは有り得ないことだ。いくら増音の魔法を使ってもせいぜい一キロが限度。 それなのにアーサーランドはおろか、隣国のヴァナランドまで轟いていたのだ。 これは流石に不吉だ、奇妙だと感じ取ったアーサーランド、ヴァナランドは両国共同で調査を開始したのが三日前。 調査の結果、東にある皆無火山ミッドガルに一番近い最果ての村の住民によると、空が裂けた、そこから何か堕ちてきた、という情報が手に入った。 本来なら調査団は意気揚々と乗り込むのだが、そこは皆無火山だ。いくつかの例外はあるが、生物という生物が生存不可能な地獄だ。 仕方なく、例外の一つであるアーサランド、ヴァナランドのXランクギルド員が派遣されたのが二日前。 緊急事態が発生し、アーサーランド、ヴァナランドの公式ギルド最高ランク持ちが派遣されたのが一日前。 そして、私たちは地に伏すギルド員たちと異形の化け物に遭遇したのがこの瞬間、現在だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!