加賀政人

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「加賀、そこにいるか?」 そう尋ねてもだだっ広い空間に響くのは俺の声だけで、扉の向こうからは何も聞こえなかった それでも俺は加賀には中々外せなかった敬語を外して続けた 「…正直驚いたし、今でも信じられない。」 加賀が俺のことを好きだということが 俺が鈍感だったのか加賀が態度に出さなかったのかは分からない 「一番驚いたのは、嫌じゃなかったことで…つまり」 もしかしたら加賀はそこには居ないかもしれない ただの俺の恥ずかしい独り言になっているかもしれない それでも 俺も気づいたから いつもの無愛想で怖い顔も時折見せる優しい笑顔もうっとおしいくらいにお母さんっぽい所も目を閉じれば鮮明に思い出せる ーー加賀はいつも俺を支えてくれた もう、一人じゃ立ってられそうにない 「…俺も加賀のこと好きだ。」 ぽつり、と呟くように言った言葉はすぐに消えて行ってしまった 静まった空間に今まで何も考えずに物を言っていたことに気づき途端に全身が熱くなった お、俺は何を…! ちらり、と扉の方を見ると先程から変わらず微動だにしない それに悲しいんだか嬉しいんだか分からなくなって俺はエレベーターに向かって走った
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