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「泣くことないだろう?
俺はそんな顔をする奴が好きだし、御前も俺を好きならしい。」
つまりは相思相愛だ、と俺が好きだと告げた加賀とはまるで別人の顔でこの加賀は言った
「俺が、好きなのは…御前なんかじゃない…!」
「…。」
「俺は…俺は!俺が好きなのは「加賀政人。だろ?」
目を細めた加賀
どうして御前は俺の好きだったその笑顔をこんな時に浮かべるんだ
全てが俺を騙すための演技だった
俺の好きだった人は何処にもいなかったんだ
胸が 痛い
黙り込んだ俺の顎を持って強引に上を向けさせた加賀
「好きあった者同士がやることはなんだと思う?」
もう何もかもどうでもよくなって、何も答えられない俺の耳元で加賀は囁く
「手を繋ぐことにキスをすること、そして……」
最後の言葉に意識がはっきりとした時には既に冷たい床に押し倒されていた
するり、と腹を撫でられる
「嫌だ…!たすけて…助けて!」
「助けてなんて言葉で救われると思うな、お坊ちゃん。」
助けてと繰り返す俺が煩わしくなったのか、加賀の顔が近づいてきて思わず顔を背けるとすぐに力で戻される
「御前は俺のものだ。」
吐息がかかる
「たすけて…」
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