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「私達には一色様の騎士となる際、交わした約束がございます。」
跪いて僕は懐を探った
こつり、と指先がそれに触れ僕はそれを取り出す
「え…?」
「もし、何らかの理由でどちらかが一色様を裏切った場合」
真紅のような瞳が真っ直ぐに見つめるのは僕の手に握られた
一丁の拳銃
「裏切った者を殺すと。」
加賀に銃口を向ける
これから殺されるのに呑気な顔だ
がっ
衝撃に視線を向けると、真っ青な顔をして僕の腕にしがみ付く飛鳥の姿
震えて、でも僕の腕は決して離そうとしない
「冗談…やめろ。騎士だか何だか知らないが、たかが高校生同士の契約に死ぬも何もあるわけが」
「君は一色家への認識がまだ甘いようだね。
…一色という名は人の命一つ簡単に消し去ってしまう。」
「…そんなの間違ってる」
「間違ってるかもしれない、でも今はそれが真実だから。」
本人にとっては全力かもしれないか弱い力を無視して、また銃口を加賀に向ける
「加賀っ…!避けろ!お前なら出来るだろ!!」
必死に叫ぶ飛鳥に微塵も動かない加賀
最初から加賀は逃げられないなんてことは分かっているんだ
こうなることだって最初から分かっていたんだ
引き金をゆっくりと引く
加賀は微笑む
彼は歪んでしまっていたけど
僕が飛鳥を愛したように
彼もきっと、
「加賀ああああっ!!!」
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