《黄金の吹雪》

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その日から、あたしの帰宅路は変わった。 仕事柄残業も多く、陽が沈む前に帰れることは少ない。 ましてや今の季節5時を過ぎれば真っ暗になるのでなおさらだ。 それでも会社帰りにわざわざ遠回りをして公園の前を通っている自分がいた。 ごくたまにだが、出勤前に通ることもある。 少しでもあの日の彼に会いたくて。 (やっぱりいないか…真っ暗だもんね) 暗い公園の中にひっそりと佇むイチョウの木。 その葉も日に日に落ちてしまっている。 (……これは完全に一目惚れなんだろうな) 「くっしゅん!……さむ、帰ろ」
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